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cue(手がかり)を増やすと売上が増える理由 — 思い出される場面を設計する

cue(手がかり)を増やすと売上が増える理由 — 思い出される場面を設計する

cueとは、記憶を引き出すためのヒモ

前回、思い出される仕組みの話を書きました。今回はもう少し実務に寄せます。

cue(キュー)は、記憶を引き出す手がかりのことです。「牛丼といえば」と聞かれたときと、「深夜に小腹が空いたときに寄る店といえば」と聞かれたときで、頭に浮かぶ店は変わります。同じ人の同じ記憶なのに、引き出すヒモが違うと出てくるものが違う。

買い手がこちらを思い出すのは、社名を検索しているときではありません。仕事中に何かに困った瞬間です。その瞬間がcueで、そこにこちらの名前が紐づいているかどうかがすべてです。

認知率90%でも売れない、の正体

認知率が高いのに売れない会社には、共通点があります。名前は知られているのに、どの場面とも結びついていない。

たとえば「Web制作会社です」とだけ言っている会社は、買い手の頭の中では「Web制作」という1本のヒモにしか繋がっていません。そのヒモは競合が何百社もぶら下がっている太いヒモなので、そこで思い出される確率は低い。

一方で「ECの商品ページの写真を撮り直したい」「採用サイトが古くて応募が来ない」といった具体的な場面に紐づいていれば、その場面が起きた瞬間に一番に出てきます。名前を知っている人の数は同じでも、結果は変わります。

cueの棚卸しは、社内でできる

やり方はシンプルです。顧客が自社を必要とする場面を、できるだけ具体的に書き出していきます。20個を目標にすると、だいたい10個を超えたあたりから質が変わってきます。

はじめの数個は「Web広告を出したい」のような、こちらの商品名に近いものが出ます。これは競合と完全に重なるので、価値は低い。

数を出していくと、「代理店に任せているのに数字の意味が分からない」「担当者が辞めて運用が止まった」「レポートは届くが次に何をすればいいか書いていない」といった、買い手側の言葉が出てきます。これがcueです。

出しきったら、それぞれについて競合が何社いるかを考えます。競合が少なくて、かつ自社が実際に解ける場面。そこが最初に取りにいく場所です。

メッセージを磨くより、cueを増やすほうが速い

多くの会社は、コピーの表現を磨くところに時間を使います。ただ、表現を磨いても、刺さる場面が1つしかなければ、思い出される回数は増えません。

同じ労力を、場面を増やすほうに使ったほうが速い。広告のコピーに商品説明だけを書くのをやめて、「こういうときに」という場面を1行入れる。それだけで、そのコピーは新しいヒモを1本増やします。

ひとつ注意があります。cueを増やすことと、言っていることをコロコロ変えることは違います。場面は増やしていい。ただし、見た目や言い回しを毎回変えると、せっかく作ったヒモが太る前に切れます。ここは次の記事で書きます。

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