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支援範囲の外に原因があるとき、支援会社は何をすべきか

支援範囲の外に原因があるとき、支援会社は何をすべきか

「持ち場はやっている。でも売上は動かない」

広告運用だけ、サイト制作だけ、というように範囲を決めて支援に入ることは多くあります。範囲の中で手を抜かず、方法も間違っていない。それでも売上が動かないことがあります。

このとき、止まっている場所はたいてい範囲の外にあります。商品の価格が市場とずれている、問い合わせの対応が遅い、決裁が降りない。どれも支援会社の管理画面には出てきません。

一方で、クライアントの担当者からは「そちらはそちらの持ち場をお願いします」と言われます。これはもっともな要求です。では、支援の目的が売上と利益を増やすことなら、範囲を超えないと無理なのではないか。この矛盾をどう扱うかを整理します。

成果を決めているのは4つの層

成果が出るかどうかは、上から順に効く4つの層で決まっています。鎖のようなもので、どこか1つが切れていると、残りが正しくても成果は出ません。

成果を決める4つの層

1. 商材・市場
そもそも売れるものか。市場が縮んでいないか。誰の責任でもありませんが、影響はいちばん大きい層です。

2. 経営の判断
予算を出す覚悟があるか。決裁は速いか。担当者に権限を渡しているか。成果が出るまでの猶予を持てるか。

3. 担当者の実行
やる気、決断のセンス、社内を動かせるかどうか。

4. 支援側
手を抜いていないか。力が足りていないか。方法が間違っていないか。

上の層ほど影響が大きいのに、支援会社からは変えられません。下の層ほど変えられますが、単体では成果を決めきれません。この非対称が、この問題の中心にあります。

支援側の失敗に、あと2つ足しておく

支援会社の失敗は「手抜き・力不足・方法論ミス」の3つで語られがちですが、実際に多いのは別の2つです。

見極めミス
1層目か2層目が止まっている案件を受けてしまうこと。方法が正しくても、担当者が社内を動かせなければ実行されません。

期待値設定ミス
成果の定義と時間軸を最初に握っていないこと。クライアントは「失敗」と思い、支援会社は「順調」と思っている状態が生まれます。

つまり支援会社の責任は「やり方」だけではなく、「誰を受けるか」「何を成果と呼ぶか」まで含めて考える必要があります。

「担当者のやる気」に見えるものは、経営の症状であることが多い

評価もされず、権限もないところで、担当者のやる気は出ません。担当者の問題に見えても、原因が2層目にあることはよくあります。

逆に、経営が本気で担当者が弱い案件は、支援会社が担当者の代わりに社内を動かす余地があります。どの層が切れているかを分けて見ると、打ち手が変わります。

越境は「手を出す」ではなく「見せる」

範囲の外に原因があるとき、支援会社がやれることは3段階あります。全部やる必要はありません。

越境の3段階

1. 観測
「ここまでは私たちの範囲で改善しました。成果が止まっているのはこの先です」と、数字で毎月示す。これは契約の中の仕事として必ずやります。

2. 提言
範囲の外で何を変えれば動くかを提案する。やるかどうかは相手が決めます。

3. 実行
範囲そのものを広げる。これは別の契約で、経営が買ったときだけです。

苦しくなるのは、1の観測を握らずに3の実行へ行こうとしたときです。そこで「持ち場をお願いします」と止められます。

「持ち場をお願いします」は正当な要求

担当者は自分の評価範囲を守っています。範囲の外の問題を外部が指摘すると、担当者の失点に見えます。やる気がないのではなく、構造的にそう言わざるを得ないのです。

だから正面から戦わず、出し方を変えます。

  • 担当者が社内で言えないことを、外部の数字として言えるようにする。担当者の手柄になる形で出す
  • 決裁者に数字が届く接点を最初に確保する。月次の報告に決裁者が一度でも同席する案件と、担当者で止まる案件は、別の案件だと考える

商品を2つに分ける

同じ「支援」でも、中身は2種類あります。

業務受託
持ち場をきちんとやる。成果の責任は持たない。範囲の外には出ない。ただし観測だけは出す。

事業パートナー
売上と利益に責任を持つ。だから範囲を越えることが仕事に含まれる。料金も、接点も違う。

この2つを混ぜると事故が起きます。業務受託のお客様に越境すれば「余計なこと」になり、事業パートナーのお客様に持ち場だけやれば「成果が出ていない」になります。

契約の最初に握る一文

「成果の阻害要因が業務範囲の外にあると分かった場合、その所在と改善案を報告する」

この一文が最初に入っていれば、観測は越境ではなく契約の履行になります。入れられないなら、受ける前に「範囲の外に原因があったとき、誰に話せますか」と聞きます。答えがなければ業務受託として受け、成果の責任は背負いません。

背負う責任と、背負わない責任

支援の目的が売上と利益なら、範囲の外に目を向けることは避けられません。ただし越境の形は「作業」ではなく、「診断の結果を決裁者に届けること」です。そこまでを自分の仕事と定義し、それ以上は相手が買うかどうかの問題にします。

背負うべきなのは、見えているのに言わなかった責任です。言ったのに動かなかった責任ではありません。

iASKが広告・サイト・データ・コンサルティングをまとめて見る形をとっているのは、この観測を最初から契約の中に置くためです。どの層が止まっているかを見つけるところまでが、私たちの持ち場だと考えています。

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