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毎月の広告費集計(7媒体)をAIに任せている — 全自動にしなかった理由
毎月、管理画面を7つ回っていた
iASKでは毎月、担当している全アカウントの広告費を集計しています。対象はGoogle、Yahoo!、Microsoft、Meta、LINE、SmartNews、Criteoの7媒体です。
やっていたことは単純で、各媒体の管理画面にログインし、前月の消化金額を確認し、スプレッドシートに転記する。これを媒体ごと、アカウントごとに繰り返します。転記先は2系統に分かれていて、あわせて14枚のスプレッドシートになります。
単純作業ですが、気は抜けません。ここで間違えると請求金額が狂います。速く終わらせることより、漏らさないこと、間違えないことが要件でした。
自動化して最初に失敗したこと
最初の設計は、全部を通しで走らせて最後に完成したシートが出てくる形にしました。これは失敗でした。
理由は、月ごとにアカウントが増減するからです。新規で始まったアカウント、停止したアカウント、名前が変わったアカウント。全自動で走らせると、前月にあって今月ないアカウントが、静かに消えます。出てきた数字は一見きれいなので、消えたことに気づけません。
自動化で怖いのは、間違った結果が出ることより、間違っていることに気づけないことでした。
今の設計:差分を先に人間に見せる
作り直した設計は3段階です。
まず、取得の前にアカウント一覧の差分を出します。前月と比べて増えたもの、減ったもの、名前が変わったものを先に提示して、そこで一度止めます。ここを人間が見る。
次に、取得したデータをいきなり本番のシートに書かず、いったん別の場所に置きます。ここで金額の合計を突き合わせて、媒体側の数字と一致するかを確認します。
最後に、確認が通ったものだけを本番のシートに転記します。
つまり、判断が必要なところは自動化していません。自動化したのは、管理画面を回ること、数字を拾うこと、形式を揃えること、突き合わせて差分を出すことです。
媒体ごとのクセは、結局ドキュメントに残すしかない
自動化してみて分かったのは、面倒さの大半が「媒体ごとのクセ」にあるということでした。
Yahoo!の月次利用明細は、月初の確定前だと使えません。確定を待つか、別のデータで代替する必要があります。Googleは検索とディスプレイを分けたい場合、分類を指定してデータを取り直さないと分かれません。Microsoftは管理単位が複数に分かれていて、ひとつの画面では完結しません。Metaは、自社が請求する分とクライアントが直接支払っている分が混ざるので、その区分を必ず明示しないと請求額を間違えます。
こういうものは、賢いAIを使えば自動で解決する、という類のものではありません。誰かが一度ぶつかって、手順として書き残すしかない。逆に言えば、書き残しさえすれば、次からは考えずに済みます。
自動化の価値は、時間より「揺れがなくなること」
短縮された時間ももちろん価値ですが、実際に効いているのはそこではありませんでした。
手作業でやっていた頃は、集計の精度がその月の忙しさに左右されていました。余裕がある月は丁寧に確認でき、締め切りが重なった月はチェックが甘くなる。品質が人の状態に依存していました。
手順として固定されると、忙しい月でも同じ結果が出ます。この「揺れがなくなること」のほうが、事業としては意味が大きいと感じています。
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